公開日2023年8月17日

【監修】理想の睡眠時間は何時間?睡眠不足による影響や充実した睡眠をとる方法も解説

健康的に過ごすために十分な睡眠をとることが大切というのは、誰しもが知っているところでしょう。

では、理想の睡眠時間とは何時間なのでしょうか?

「8時間は欲しい」「5時間で大丈夫」などさまざまな意見があるため、正確な答えはわからないという人が多いかもしれません。

実は、理想の睡眠時間は人それぞれ異なります。日中に眠気がなく、元気に活動できているなら、適切な睡眠時間をとれていると判断してください。

この記事では、理想の睡眠時間や睡眠時間に影響を与える因子、睡眠不足がおよぼす影響について解説します。また、充実した睡眠をとる方法についてもお伝えします。

1.日本人の平均睡眠時間は短い

理想の睡眠時間が気になるのは「十分な睡眠時間をとれていないのでは?」という不安があるからではないでしょうか。

OECD(経済協力開発機構)が、OECD加盟国を中心とする計30カ国について、1日の平均睡眠時間を比較したところ、日本は7時間22分と最短でした。

また、厚生労働省が5,702人を対象に行った睡眠に関する調査では、69.1%もの人が睡眠に何らかの悩みを抱えていると答え、18.6%の人が「睡眠時間が足りないと感じることが週3回以上ある」と答えました。

日本人の平均睡眠時間は短く、睡眠時間に悩みを抱える人は多いと考えられます。

2.理想の睡眠時間は人それぞれ

実は「理想の睡眠時間は◯時間」と断言することができません。なぜなら、必要とする睡眠時間は人それぞれ違うからです。

みなさんの中には、高齢になると早起きになると聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。これは、加齢とともに基礎代謝が低下し、睡眠により補うべきエネルギー量が減るからです。つまり、高齢者はそうでない人と比べて睡眠時間が短くても問題ないことが多く、理想の睡眠時間も短めというわけです。

自分にとっての理想の睡眠時間を考えるときは、◯時間という数値ではなく、日中に眠気がないかどうかを判断基準としてください。ほかの人より睡眠時間が短くても、日中の活動に影響が出ないなら、問題ありません。

3.睡眠時間だけでなく睡眠の質も重要

日中に眠気を感じる場合、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠の質が低下している可能性も考えられます。

睡眠の質を高めるためには、入眠後最低でも3時間は眠り続けることが大切です。

人の睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、交互に繰り返されます。疲労回復のためには、大脳が休息するノンレム睡眠が重要と考えられており、深いノンレム睡眠を得られるかどうかが睡眠の質を決めるポイントになります。ノンレム睡眠が最も深くなるのは入眠後3時間です。そのため、この3時間に目覚めることがないようにすることで睡眠の質を高められるわけです。

日中に眠気を感じる場合は、睡眠時間だけでなく、入眠後3時間連続して眠れているかを考えてみてください。入眠後3時間以内に起きてしまう場合は、ぐっすり眠れるよう対策が必要です。対策法については「充実した睡眠をとる方法」の章で紹介していますので、参考にしてみてください。

4.睡眠時間や睡眠の質に影響を与える因子

睡眠時間や睡眠の質は「年齢」「寝室の環境」「寝具」などにより影響を受けます。

これらの因子について理解することは、充実した睡眠をとるための対策にもつながるため重要です。引き続き、各因子について解説しますのでご覧ください。

4-1.年齢

必要な睡眠時間は年齢ごとに違います。

人が生きていくために最低限必要なエネルギーのことを「基礎代謝」といい、一般的に基礎代謝量は年齢を重ねるごとに少なくなります。睡眠中には基礎代謝を高めることにつながるホルモンが分泌されますが、年齢を重ねるごとに補うべき基礎代謝量が減るため、必要とする睡眠時間も短くなるのです。

実際に、平均睡眠時間は10歳までの子供では約8〜9時間ですが、15歳になると約8時間に、25歳では約7時間に、45歳では約6時間半に、そして65歳では約6時間にまで減るというデータもあります。

高齢者の中には、若いときと比べて睡眠時間が短くなったと悩む人がいますが、これは当然のことです。気にしすぎるとかえって眠れなくなってしまうことになりかねないため、年齢ごとに必要な睡眠時間が違うということを理解しておきましょう。

4-2.寝室の環境(照明・温湿度)

寝室の照明や温湿度は、睡眠時間や睡眠の質に影響を与えます。

私たちの体では眠りにつくときに、入眠を促す「メラトニン」というホルモンが分泌されます。メラトニンは光によって分泌が抑制されてしまうため、寝つきをよくするためには、寝室を暗くしておくことが大切なのです。

また、寝室の温湿度が高すぎたり低すぎたりすると、寝つきにくくなるのはもちろん、寝ている途中で目覚めやすくなってしまうといわれています。寝室の温湿度は適切に保ちましょう。

寝室を暗くする方法や温湿度を適切に保つ方法については「充実した睡眠をとる方法」の章で解説しています。そちらをご覧ください。

4-3.寝具

寝具も睡眠時間や睡眠の質に影響を与える因子です。

硬すぎる敷布団や汗により濡れて肌触りが悪くなる掛け布団、高さの合わない枕などを使っていると、ぐっすり眠れなくなってしまう恐れがあります。

「充実した睡眠をとる方法」の章を参考に、適切な寝具を選びましょう。

5.睡眠不足や睡眠の質低下による影響

睡眠時間の不足や睡眠の質低下による影響はさまざまですが、特に有名なものとして「日中のパフォーマンス低下」があげられます。また、近年の研究により「肥満や生活習慣病のリスク」や「うつ病のリスク」が上昇することも明らかになっています。

引き続き、それぞれについて詳しく解説しますので、参考にしてください。

5-1.日中のパフォーマンス低下

「集中力が続かず、仕事や勉強にいつもより時間がかかってしまう」「ケアレスミスを連発してしまう」など、日中のパフォーマンス低下を感じる場合は、睡眠の質が低下して心身が疲れているのかもしれません。

睡眠中には「成長ホルモン」という物質が分泌され、日中に受けた心身の疲れを回復したり、運動などにより壊れた細胞を再生してくれます。成長ホルモンは寝ついてから最初に訪れるノンレム睡眠中に最も多く分泌されるため、寝ついてからすぐに目覚めてしまう「睡眠の質が低下した状態」だと、疲労回復効果や細胞の修復効果が十分に得られません。

日中に疲労を残さず元気に活動するためには、成長ホルモンがしっかり分泌されるよう、睡眠の質を高めることが大切です。

5-2.肥満や生活習慣病のリスク

睡眠時間が不足すると、食欲が増して肥満になるといわれます。

私たちの体では、4時間睡眠を2日間続けただけで、食欲を抑える「レプチン」というホルモンの分泌が減り、逆に食欲を高める「グレリン」の分泌が増えます。また、4時間しか睡眠がとれなかった後では、10時間睡眠をとった後と比べて、スイーツや炭水化物などの太りやすい食べ物を欲する傾向もあるそうです。

肥満は心筋梗塞や糖尿病をはじめとする生活習慣病の原因になります。深刻な病気になる前に、十分な睡眠時間を確保して肥満を予防することが大切です。

5-3.うつ病のリスク

近年では、睡眠時間の不足や睡眠の質低下により、うつ病のリスクも高まると考えられています。

不眠の症状がある人はそうでない人と比べて、3年以内にうつ病になる可能性が4倍高まり、不眠の状態が1年以上続くと、うつ病になるリスクは40倍にもなるという報告があります。

体だけでなく、心の健康を保つためにも、十分な睡眠時間や質の高い睡眠をとることは大切なのです。

6.充実した睡眠をとる方法

上述の通り、睡眠時間が不足したり睡眠の質が低下すると、私たちの心身にはさまざまな悪影響がおよびます。健康的に過ごすために、生活習慣や就寝環境を整えて充実した睡眠をとりましょう。

引き続き、充実した睡眠をとる方法について紹介しますので、参考にしてみてください。

6-1.早めに起きて朝日を浴びる

十分な睡眠時間を確保するためには、朝早めに起きて太陽の光を浴びることが大切です。

私たちの体には、夜になると眠りに導いてくれる「体内時計」が備わっていますが、この体内時計の周期は24.2時間程度と、地球の自転周期の24時間より少し長くなっています。そのままでは自転周期とズレていってしまうため、毎日リセットする必要があるのです。

体内時計リセットの役割を担うのは「光」です。光を浴びると体内時計はリセットされ、新たな周期が始まり、15〜16時間後に眠気が生じるようになっています。例えば、朝の7時に太陽の光を浴びれば、夜の10時ごろに眠くなるというわけです。

夜の寝つきをよくして睡眠不足を防ぐために、朝は早めに起きて太陽の光を浴びるようにしましょう。

6-2.夕方から夜にかけて運動する

夕方から夜にかけて運動し、脳の温度を一時的に上げると、寝つきが良くなるといわれます。

脳の温度は普段その人が就寝する約2時間前から急激に低下していき、この低下途中に眠気が強くなります。そして、温度の低下速度が速いほど眠りにつきやすいのです。

夕方から夜にかけての運動で脳の温度を上げて、低下速度を速めれば、寝つきを良くできると考えられます。ストレッチや軽いジョギングなど取り組みやすいもので構いませんので、毎日継続してみましょう。

6-3.就寝前のカフェイン・アルコール・タバコを控える

カフェインやアルコール、タバコのニコチンなどには覚醒作用があるため、就寝前に摂取すると寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなって途中で目覚めてしまう恐れがあります。

カフェインを摂取する場合は遅くとも就寝の4時間前までに、アルコールは3〜4時間前までに、タバコは1〜2時間前までに済ませましょう。この時間より前であれば、寝つくときには血中濃度が半減しているかほぼゼロになっているため、影響は少ないと考えられます。

6-4.寝室の環境(照明・温湿度)を整える

「睡眠時間や睡眠の質に影響を与える因子」の章で解説した通り、照明の光や適切でない温湿度は、睡眠不足や睡眠の質を低下させる原因となります。

照明を切る、遮光カーテンで室外の光を遮断するなど、寝室はできるだけ暗くなるように工夫をしてみてください。

寝室の温度は冬季なら16℃~19℃前後、夏季なら26℃~28℃前後が、湿度は40〜60%程度が良いとされています。空調機器などを上手に活用して、推奨温湿度を目指してみましょう。

6-5.自分に合った寝具を使う

自分に合わない寝具を使っていると、睡眠不足や睡眠の質を低下させる原因になります。

敷布団やマットレスは、楽な寝姿勢を保てる適度な硬さのものを選びましょう。柔らかすぎると胸部と腰部が深く沈み込んで眠りにくく、腰痛の原因にもなってしまいます。また、逆に硬すぎても血流が妨げられて熟睡できなくなる恐れがあります。

掛け布団を選ぶときは保温性や吸放湿性に着目しましょう。季節に合った保温性のものや、吸放湿性の高いものを選ぶことで、寒さや暑さ、汗による不快感で目が覚めてしまうことを防げます。

枕は、敷布団と首の隙間を埋められる高さのものを選んでください。高さが合っていないと、首や肩に負担がかかり安眠できなくなります。

上記の点に着目して、自分に合った寝具を選んでみましょう。

7.睡眠の充実をサポートするRecovery Sleepのアイテム

十分な睡眠時間や質の高い睡眠を得るためには、快適に眠れる寝具を使うことが大切です。

RecoverySleepでは、効率良く疲労軽減できる敷きパッドや、自分の体型に合わせて使える枕をご用意しています。充実した睡眠を得るために役立てていただけますので、ぜひ利用を検討してみてください。

引き続き、各商品について簡単にご紹介します。

7-1.Recovery Sleep敷きパッド

温熱効果と優れた吸放湿性により、目覚めのスッキリをサポートする敷きパッドです。

中綿に練り込まれた鉱石が体の熱を吸収し、赤外線として輻射します。自然な温熱効果を得られるため、寝ている間に効率良く疲労を軽減することが可能です。

また、中綿は吸放湿性にも優れているため、寝汗を気にせず朝までぐっすり眠っていただけるでしょう。

Recovery Sleep敷きパッド

7-2.Recovery Sleep枕

自分で高さをカスタマイズできる枕と、温熱効果を得られる枕カバーのセットです。

枕は7つの部屋にわかれており、各部屋の中材を細かく調節して自分に合う高さに変更できます。首や肩への負担を軽減して安眠したい方におすすめです。

セットの枕カバーは、中綿に鉱石が練り込まれており、体の熱を吸収し、赤外線として輻射します。温熱効果により疲労の軽減も期待できます。

RecoverySleep枕カバー+本体セット

まとめ

理想の睡眠時間は人により違います。日中の活動に影響がなければ、十分に睡眠をとれていると判断しましょう。

日中、眠気によりパフォーマンスが低下していると感じる場合は、睡眠時間が不足していたり、睡眠の質が低下している可能性があります。そのままにしておくと重大な病気を引き起こす恐れもありますので、今回ご紹介した内容を参考に、生活習慣や就寝環境を見直してみてください。

この記事の監修者

休養 × 疲労回復の専門家
睡眠改善協議会 睡眠改善インストラクター
日本リカバリー研究所 所長

福田 英宏 (フクダ ヒデヒロ)

早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。

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