理想の睡眠時間は?自分に合った睡眠時間を見極めるポイントや良質な睡眠をとる方法も解説

健康に過ごすためには、十分な睡眠が欠かせません。では、「十分な睡眠」とは、どのような睡眠のことを指すのでしょうか?

2023年末には厚生労働省が「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」を発表し、約10年ぶりに国の睡眠ガイドが更新されました。国民の睡眠時間が少ない傾向にあることなどを踏まえ、新たな観点で内容がまとめられています。また、ガイドのなかでは、睡眠時間の確保が重要なこと、良質な睡眠が健康に欠かせないことなどが明記されています。

この記事では、理想の睡眠時間について、分かりやすく解説します。自分に合った睡眠時間を見極めるためのポイントや、不十分な睡眠が及ぼす影響、良質な睡眠をとるための方法などについてもご紹介。ぜひこの機会に睡眠を見直し、健康的な生活を整えてみましょう。

1.理想の睡眠時間は人によって異なる

睡眠時間を人に尋ねると、自分とは全く違う答えが返ってくるかもしれません。例えば、「8時間寝ているのに寝足りない」「ショートスリーパーなので4時間寝れば十分」などです。だからこそ、「結局、1日に何時間寝たらいいの?」と迷ってしまいます。

厚生労働省のガイドのなかでもまとめられていますが、結論、必要な睡眠時間は、人によって異なります。「睡眠は8時間がベスト」とよく聞きますが、それは一概には言えません。

睡眠は、すべての人にとって必要不可欠な休養活動である一方で、必要量には個人差があります。年齢や季節、体質などのさまざまな因子に影響されるため、全員を共通の指標ではかることは難しいのです。

以下では、睡眠時間に影響を与える因子である「年齢」と「季節」に関して、もう少し詳しく解説します。

1-1.必要な睡眠時間は年齢によって変化

みなさんのなかには、加齢とともに睡眠時間が短くなり、早起きになると聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。これは本当で、ごく自然なことです。

睡眠は、年齢とともに変化するため、年齢や状況に合わせて自分のものさしで向き合っていく必要があります。以下で、年代別の睡眠時間をチェックしていきましょう。

1-1-1.子ども

小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間の睡眠時間を確保することが推奨されています。子どもの睡眠には、休養に加え、心身の成長という重要な役割があります。

乳幼児の睡眠時間はもっと長く、発達に応じて睡眠時間やリズムが劇的に変化するのが特徴です。

1-1-2.成人

成人の場合は、6時間以上を目安に睡眠時間を確保することが推奨されています。さらに言うと、1日6〜8時間が適正とされ、10時間以内の長い睡眠も許容されているのが現状です。

成人の睡眠は個人差が大きく、日中の活動量にも大きく左右されます。短時間で睡眠が充足するショートスリーパーや、8時間以上の睡眠が欠かせないロングスリーパーの方も一定数存在します。上記はあくまで基準としてとらえ、自分に合った睡眠時間を見極めていくことが大切です。

睡眠時間を見極めるポイントについては、「自分に合った睡眠時間の見極めが重要」の見出しで、後ほど詳しく解説します。

1-1-3.高齢者

高齢者は、床上時間が8時間以上にならないことが推奨されています。子どもや成人は、「◯時間以上」という指標で示されていますが、高齢者に限っては反対です。調査により、長時間睡眠が健康リスクをもたらすことが分かっています。

厚生労働省の睡眠ガイドに掲載されているデータによると、7時間未満の睡眠による将来の死亡のリスクは1.07倍であるのに対し、8時間以上の長時間睡眠による将来の死亡のリスクは1.33倍という結果が出ています。

加齢とともに、基礎代謝が低下したり、活動量が減ったりすることから、必要な睡眠時間も減少します。その分、睡眠時間が短くなる傾向にあるのです。睡眠のリズムが変化することにより、早寝早起きになる傾向も現れます。自身の睡眠に変化を感じたときが、睡眠時間を見直す適切なタイミングです。

1.2.季節によっても変動

睡眠時間は、季節によっても変動することが分かっています。日の出から日の入りまでの日長時間に影響を受けるとされており、冬季よりも夏季のほうが睡眠時間が短くなる傾向にあります。

夏季になると、寝室環境が高温・多湿になることも、睡眠時間が短くなる一因です。寝室環境は、睡眠の質にも直結します。これについては、後ほど「良質な睡眠をとる方法」の見出しで解説します。

2.日本人の平均睡眠時間は短い

この記事を読んでいる方は、ご自身の睡眠に不安を感じているのではないでしょうか。

OECD(経済協力開発機構)が2021年に実施した調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分。調査対象である33カ国の平均は8時間28分であり、各国平均より1時間以上も短く、最短という結果でした。

また、厚生労働省が発表した令和元年の「国民健康・栄養調査結果」によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は、男性が37.5%、女性が40.6%。日本人の睡眠時間は短い傾向にあり、政府も課題ととらえています。

日本人の睡眠時間が短い理由としては、働きすぎやストレスによる不眠、育児、勉強などが挙げられます。24時間社会における就業形態の変化などもあり、ますます睡眠不足が加速しているのが現状です。

3.自分に合った睡眠時間の見極めが重要

ここまで睡眠時間について解説してきましたが、睡眠の理屈を知ったところで「結局、自分は何時間寝ればいいの?」と思った方もいるでしょう。

上述したように、必要な睡眠時間には個人差があり、「◯時間」という風に数値で示すのは困難です。つまり自分自身で理想の睡眠時間を見極めることが重要となります。

判断基準は、「日中に眠気がないかどうか」です。一般的な睡眠時間を頭に入れて、そこから足し引きしながら模索していきましょう。このとき、ほかの人の意見を参考にするのは、おすすめではありません。あくまで自分軸で、自分に合った理想の睡眠時間を見極めることが大切です。

4.健康のためには「睡眠休養感」も必須

良質な睡眠がとれてはじめて、健康な生活を送ることができます。良質な睡眠のためには、睡眠時間の確保だけでなく、「睡眠休養感」も重要です。睡眠時間が量であるならば、睡眠休養感は質に当たります。この2つを同時に追求していくことが、生活の質を高めていくことにつながります。

睡眠休養感とは、睡眠で休養がとれている感覚のことです。個人の感覚のため、睡眠休養感にも何か決まった指標があるわけではなく、自分に合った形を模索していくことになります。

睡眠にはリズムがあり、睡眠の質とも深く関わりがありますが、よく言われるのが、眠りはじめの3時間が重要ということです。

人の睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類があり、交互に繰り返されます。疲労回復のためには、大脳が休息するノンレム睡眠が重要と考えられており、深いノンレム睡眠を得られるかどうかが睡眠の質を決めるポイントになります。ノンレム睡眠が最も深くなるのは入眠後3時間です。そのため、この3時間に目覚めることがないようにすることで睡眠の質を高められるわけです。

日中に眠気を感じる場合は、睡眠時間だけでなく、入眠後3時間連続して眠れているかを考えてみてください。入眠後3時間以内に起きてしまう場合は、ぐっすり眠れるよう対策が必要です。対策法については「良質な睡眠をとる方法」の章で紹介していますので、参考にしてみてください。

5.睡眠の問題が及ぼす悪影響

睡眠時間の不足や睡眠の質低下による影響はさまざまですが、特に有名なものとして「日中のパフォーマンス低下」があげられます。また、近年の研究により「肥満や生活習慣病のリスク」や「うつ病のリスク」が上昇することも明らかになっています。

引き続き、それぞれについて詳しく解説しますので、参考にしてください。

5-1.日中のパフォーマンス低下

「集中力が続かず、仕事や勉強にいつもより時間がかかってしまう」「ケアレスミスを連発してしまう」など、日中のパフォーマンス低下を感じる場合は、睡眠の質が低下して心身が疲れているのかもしれません。

睡眠中には「成長ホルモン」という物質が分泌され、日中に受けた心身の疲れを回復したり、運動などにより壊れた細胞を再生してくれます。成長ホルモンは寝ついてから最初に訪れるノンレム睡眠中に最も多く分泌されるため、寝ついてからすぐに目覚めてしまう「睡眠の質が低下した状態」だと、疲労回復効果や細胞の修復効果が十分に得られません。睡眠が十分でない状態が続くと、情動不安定や学力成績の低下につながることも指摘されています。

日中に疲労を残さず元気に活動するためには、成長ホルモンがしっかり分泌されるよう、睡眠の質を高めることが大切です。

5-2.肥満や生活習慣病のリスク

睡眠時間が不足すると、食欲が増して肥満になるといわれます。

私たちの体では、4時間睡眠を2日間続けただけで、食欲を抑える「レプチン」というホルモンの分泌が減り、逆に食欲を高める「グレリン」の分泌が増えます。また、4時間しか睡眠がとれなかった後では、10時間睡眠をとった後と比べて、スイーツや炭水化物などの太りやすい食べ物を欲する傾向もあるそうです。

肥満は心筋梗塞や糖尿病をはじめとする生活習慣病の原因になります。深刻な病気になる前に、十分な睡眠時間を確保して肥満を予防することが大切です。

5-3.うつ病のリスク

近年では、睡眠時間の不足や睡眠の質低下により、うつ病のリスクも高まると考えられています。

不眠の症状がある人はそうでない人と比べて、3年以内にうつ病になる可能性が4倍高まり、不眠の状態が1年以上続くと、うつ病になるリスクは40倍にもなるという報告があります。

体だけでなく、心の健康を保つためにも、十分な睡眠時間や質の高い睡眠をとることは大切なのです。

6.良質な睡眠をとる方法

上述の通り、睡眠時間が不足したり睡眠の質が低下すると、私たちの心身にはさまざまな悪影響がおよびます。健康的に過ごすために、生活習慣や就寝環境を整えて、良質な睡眠をとりましょう。

引き続き、充実した睡眠をとる方法について紹介しますので、参考にしてみてください。

6-1.早めに起きて朝日を浴びる

十分な睡眠時間を確保するためには、朝早めに起きて太陽の光を浴びることが大切です。

私たちの体には、夜になると眠りに導いてくれる「体内時計」が備わっていますが、この体内時計の周期は24.2時間程度と、地球の自転周期の24時間より少し長くなっています。そのままでは自転周期とズレていってしまうため、毎日リセットする必要があるのです。

体内時計リセットの役割を担うのは「光」です。光を浴びると体内時計はリセットされ、新たな周期が始まり、15〜16時間後に眠気が生じるようになっています。例えば、朝の7時に太陽の光を浴びれば、夜の10時ごろに眠くなるというわけです。

夜の寝つきをよくして睡眠不足を防ぐために、朝は早めに起きて太陽の光を浴びるようにしましょう。

6-2.夕方から夜にかけて運動する

夕方から夜にかけて運動し、脳の温度を一時的に上げると、寝つきが良くなるといわれます。

脳の温度は普段その人が就寝する約2時間前から急激に低下していき、この低下途中に眠気が強くなります。そして、温度の低下速度が速いほど眠りにつきやすいのです。

夕方から夜にかけての運動で脳の温度を上げて、低下速度を速めれば、寝つきを良くできると考えられます。ストレッチや軽いジョギングなど取り組みやすいもので構いませんので、毎日継続してみましょう。

6-3.就寝前のカフェイン・アルコール・タバコを控える

カフェインやアルコール、タバコのニコチンなどには覚醒作用があるため、就寝前に摂取すると寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなって途中で目覚めてしまう恐れがあります。

カフェインを摂取する場合は遅くとも就寝の4時間前までに、アルコールは3〜4時間前までに、タバコは1〜2時間前までに済ませましょう。この時間より前であれば、寝つくときには血中濃度が半減しているかほぼゼロになっているため、影響は少ないと考えられます。

6-4.寝室の環境(照明・温湿度)を整える

「睡眠時間や睡眠の質に影響を与える因子」の章で解説した通り、照明の光や適切でない温湿度は、睡眠不足や睡眠の質を低下させる原因となります。

照明を切る、遮光カーテンで室外の光を遮断するなど、寝室はできるだけ暗くなるように工夫をしてみてください。

寝室の温度は冬季なら16℃~19℃前後、夏季なら26℃~28℃前後が、湿度は40〜60%程度が良いとされています。空調機器などを上手に活用して、推奨温湿度を目指してみましょう。

6-5.自分に合った寝具を使う

自分に合わない寝具を使っていると、睡眠不足や睡眠の質を低下させる原因になります。

敷布団やマットレスは、楽な寝姿勢を保てる適度な硬さのものを選びましょう。柔らかすぎると胸部と腰部が深く沈み込んで眠りにくく、腰痛の原因にもなってしまいます。また、逆に硬すぎても血流が妨げられて熟睡できなくなる恐れがあります。

掛け布団を選ぶときは保温性や吸放湿性に着目しましょう。季節に合った保温性のものや、吸放湿性の高いものを選ぶことで、寒さや暑さ、汗による不快感で目が覚めてしまうことを防げます。

枕は、敷布団と首の隙間を埋められる高さのものを選んでください。高さが合っていないと、首や肩に負担がかかり安眠できなくなります。

上記の点に着目して、自分に合った寝具を選んでみましょう。

7.良質な睡眠をサポートするRecovery Sleepのアイテム

十分な睡眠時間や質の高い睡眠を得るためには、快適に眠れる寝具を使うことが大切です。

RecoverySleepでは、効率良く疲労軽減できる敷きパッドや、自分の体型に合わせて使える枕をご用意しています。充実した睡眠を得るために役立てていただけますので、ぜひ利用を検討してみてください。

引き続き、各商品について簡単にご紹介します。

7-1.Recovery Sleep敷きパッド

温熱効果と優れた吸放湿性により、目覚めのスッキリをサポートする敷きパッドです。

中綿に練り込まれた鉱石が体の熱を吸収し、赤外線として輻射します。自然な温熱効果を得られるため、寝ている間に効率良く疲労を軽減することが可能です。

また、中綿は吸放湿性にも優れているため、寝汗を気にせず朝までぐっすり眠っていただけるでしょう。

Recovery Sleep敷きパッド

7-2.Recovery Sleep枕

自分で高さをカスタマイズできる枕と、温熱効果を得られる枕カバーのセットです。

枕は7つの部屋にわかれており、各部屋の中材を細かく調節して自分に合う高さに変更できます。首や肩への負担を軽減して安眠したい方におすすめです。

セットの枕カバーは、中綿に鉱石が練り込まれており、体の熱を吸収し、赤外線として輻射します。温熱効果により疲労の軽減も期待できます。

RecoverySleep枕カバー+本体セット

まとめ

睡眠時間に関してはさまざまな議論があり、個人によっても大きく異なるからこそ、正解を見出しにくいものです。厚生労働省が直近の知見を集約し、約10年ぶりに改訂した「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」は、ひとつの目安になるでしょう。しかし、あくまで推奨目安としてとらえ、自分なりの睡眠時間を見極めることが大切です。

睡眠時間と睡眠の質を両方満たした「良質な睡眠」をとることは、生活の質の向上につながります。今回ご紹介した内容のなかには、気軽にできるものも含まれています。ぜひ、生活に取り入れて、日中のパフォーマンスの向上を実感してみてください。

この記事の監修者

休養 × 疲労回復の専門家
睡眠改善協議会 睡眠改善インストラクター
日本リカバリー研究所 所長

福田 英宏 (フクダ ヒデヒロ)

早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。

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