【監修】日本は寝不足大国?睡眠不足が引き起こす悪影響と睡眠障害について解説。

世界開発協力機構に加盟している33カ国の平均睡眠時間が8時間28分であるのに対して、日本人の平均睡眠時間は、7時間22分と睡眠時間が非常に短い傾向にあります。かつては約8時間の理想的な睡眠時間を確保することができていた日本人ですが、現在に至るまで睡眠時間は年々減少の一途を辿っています。睡眠不足は、もはや日本人の社会問題であると捉えてもよいでしょう。
しかし、睡眠不足は日常にさまざまな悪影響をもたらし、睡眠障害によって苦しめられる可能性も有しています。睡眠不足に関する問題や、睡眠障害について改めて認識した上で、対策と改善策について考えることが大切です。
以下では、睡眠不足が引き起こす悪影響や、睡眠障害について具体的に触れ、それらに対する対策と改善案を紹介していきます。

1.睡眠不足が引き起こす悪影響

睡眠が不足していると、さまざまな悪影響が引き起こされます。

1-1.認知症

睡眠が十分にとれていないと、認知症のリスクが4倍になると言われています。
睡眠中には、脳脊髄液が脳内に流れ込み、老廃物を除去するという説があります。
しかし、睡眠を十分に行わないと、そのプロセスを十分に踏むことができずに、老人斑と呼ばれるアミロイドβというタンパク質が溜まったものが蓄積しやすくなってしまいます。これが、蓄積することで認知症が進行すると考えられているため、認知症予防にとって睡眠は重要であるといえます。

1-2.メンタル不調

睡眠不足になると、コミュニケーションや理解能力が低下し、小さなことでもイライラしやすくなることが判明しています。睡眠不足の状態では、前頭前野の活動が低下し、ストレスホルモンの分泌も増加、感情調節のための神経伝達物質や神経回路が働きにくくなります。そのため、他者への共感能力が低下し、利己的な行動をしてしまうようになってしまいます。結果的に人間関係を悪化させ、それによるストレスから自身の睡眠障害にもつながってしまう可能性もあります。

1-3.メタボリックシンドローム

睡眠不足だとメタボリックシンドロームになりやすいといわれています。原因としては、睡眠不足になると、食欲を抑制するホルモンの分泌が減少し、食欲増進ホルモンの分泌が増加してしまうためです。また、ストレスホルモンの分泌を増加させ、脂肪の蓄積が促進させられてしまいます。
これらの原因により、睡眠不足で摂取カロリー・体重・内臓脂肪が増加するということが判明しています。
十分な睡眠をとることで、ホルモンのバランスが整い、食欲や脂肪の蓄積を制御できるようになります。運動や食事制限を頑張ろうと思っても、睡眠不足のままでは成果をあげることは難しいです。メタボな人ほど、睡眠を十分にとり、疲れやストレスを軽減させることが重要です。

1-4.免疫力低下

睡眠不足によって睡眠の負債が溜まると、ナチュラルキラー細胞の活性度が低下してしまいます。これにより、自然免疫が低下し、がんや感染症等の発症リスクを高めることが明らかになっています。睡眠不足が続くと、自然免疫が低下する他に、抗体ができにくくなったり、炎症が起こりやすくなってしまいます。そのため、風邪を引きやすくなったり、悪化しやすくなる等、健康にとって悪影響を及ぼします。
自身の健康を守る免疫力維持のためにも、十分に睡眠をとることは大切です。

2.睡眠障害の種類と症状

2-1.不眠症

不眠に悩む人は、およそ4人に1人と言われており、入眠困難や睡眠維持障害によって多くの人が心身に支障をきたしています。入眠困難とは、寝付きが悪く眠りにつくまでに30分〜1時間以上かかることを指します。原因としては、ストレスや不規則な生活習慣などが考えられています。睡眠維持障害とは、入眠しても眠りが浅く、何度も中途覚醒してしまい睡眠の質が十分でなかったり、睡眠時間が十分にとれない状態に陥ってしまうことを指します。

2-2.睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に繰り返し呼吸が停止または極端に弱まる症状を指します。具体的には、
睡眠時無呼吸症候群の一時的な兆候として、「いびき」があげられます。ほとんどの人が自分には関係ないと他人事として捉えているかもしれませんが、睡眠時無呼吸症候群の潜在患者数は、900万人と言われており、大きないびきは睡眠時無呼吸の可能性が高いことを表しています。
睡眠時無呼吸症候群になってしまうと、睡眠中に血液酸素濃度が繰り返し低下することで、脳卒中や心臓発作などの重篤な疾患のリスクが大幅に上がってしまいます。

2-3.ナルコレプシー

ナルコレプシーとは、中枢神経系の慢性的な障害で、主な症状としては、日中の過度な眠気、突然眠ってしまう睡眠発作、強い感情を感じた際に筋肉が突然弛緩してしまう現象、睡眠麻痺、入眠時の幻覚などがあります。日本では、600〜2000人に1人が発症すると言われており、一般的に10代〜30歳の間に発症することが多いです。
ナルコレプシーの原因としては、オレキシンという覚醒状態を維持する神経伝達物質の欠乏が考えられています。これに対し、まだ根本的な治療法はありませんが、ナルコレプシーの原因に直接作用するオレキシン作動薬の開発が進められています。

2-4.レム睡眠行動障害

レム睡眠行動障害とは、レム睡眠中に通常は抑制されるはずの身体の動きが抑えられない現象が起こる、睡眠障害です。この状態では、患者が夢で見ている内容を反映するように身体を動かすことがあります。例えば、夢の中で追いかけられていると感じた場合、現実世界で実際に足を動かしたり、手を振ったりといった行動に出ることがあります。50代以上の特に男性に多くみられる症状であり、本人は自分が動いていることを意識できないため、自身や一緒に寝ている家族にケガを負わせてしまう可能性があります。

2-5.夢遊病(睡眠時遊行症)

夢遊病とは、主に睡眠中に無意識のうちに起き上がり、歩き回る行動を示す睡眠障害です。これは、レム睡眠行動障害とは異なり、ノンレム睡眠時に神経制御が乱れ、身体が覚醒してしまうことで引き起こされることが特徴の一つです。

3.対策と改善策

3-1.自分の睡眠を客観的にみる

睡眠の量や質を改善するためには、まず自分の睡眠について知ることが重要です。
就寝時間や起床時間、睡眠の質、そして日中の眠気や疲労感などを、主観だけでなくアプリなどを使って、客観的に自分の睡眠を知ることで、自分の睡眠の問題点や改善点を理解し、
効果的な対策や改善策をとることができるようになります。
自分の睡眠を正確に知るためには、睡眠外来を訪れることが最も効果的ですが、医療機関の数も少なく、スケジュールの都合などなかなか難しい点もあるかと思います。そういった方には、自宅で簡単に計測できるアプリやデバイスの利用をおすすめします。一緒に寝ているパートナーや家族に自分の睡眠時の状況を聞くことも、客観的に自分の睡眠を知ることができるので、ぜひ試してみてください。

3-2.環境を整える

睡眠にとって、環境もとても重要な要素の一つです。睡眠の質を左右する環境的な要素としては、主に音、光、温度の3つがあります。
まず、音に関しては、当然の話のように感じるかもしれませんが、静かである方が良いです。人の聴覚は、寝ている間も働き続けています。騒音により睡眠が阻害されることは想像が容易ですが、実は人の話し声にも覚醒作用があるので、睡眠の質を上げるためには静かな睡眠環境を確保するようにしましょう。
次に、光が睡眠に与える影響について説明します。人間には体内時計というものがありますが、これは朝や日中に太陽の光を浴び、夜間に浴びる光の量が減少することで正常に作用します。そのため、夜間の睡眠時に強い光を浴びていると、体内時計が正常に作用できなくなってしまいます。また、明るい光そのものにも覚醒作用があり、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌が抑制されてしまうため、就寝時には部屋を暗くするか、足元から照らす間接照明を用いるようにしましょう。
そして、睡眠と温度の関係も密接です。寒すぎる、もしくは暑すぎる部屋で寝ることも睡眠の質を低下させる要因の一つとなります。自分が快適に感じる温度や湿度を朝まで保つようにしましょう。目安としては、冬は19〜22℃、夏は23〜26℃です。また、夏にかけ布団等を何もかけないでいる状態が快適に感じている場合は、室温が高いと考えられますので、エアコンなどを使い室温を調節しましょう。体温調節の観点からも、最低1枚は何かをかけて眠ることが大切です。

3-3.快眠のための習慣を身につける

睡眠の質を上げ、快眠を手にするためには、就寝前の習慣も大切なポイントとなります。
快眠のために気をつけるべき習慣はいくつかありますが、ここでは3つほどご紹介します。
まず、理想の食習慣についてです。夕食は就寝の4時間前までに済ませることが理想的です。食事後すぐは、消化のために胃腸が活発に働き、身体の深部体温が上昇するため、睡眠が浅くなってしまいます。
次に、理想の入浴習慣についてです。入浴は就寝の1〜2時間前に済ませることが理想的です。40℃のお湯に10〜15分ほど浸かることで、身体の深部体温が0.5℃ほど上がり、その後1〜2時間で体温が下がり眠りにつきやすくなります。お湯の温度が熱すぎると、交感神経を刺激し、覚醒状態になってしまうため注意が必要です。
最後に運動習慣についてです。運動をして上がった体温が下がる際に眠気を感じるため、適度な運動を行うことは睡眠にとっても良い効果をもたらすことがあります。しかし、激しい運動には注意が必要です。就寝の直前に激しい運動を行ってしまうと、熱すぎるお湯に入浴した時と同様に、交感神経を刺激してしまい、眠りにつくことが難しくなってしまいます。運動はなるべく就寝の30分前までに済ませ、就寝前にはストレッチ程度の運動に抑えましょう。

3-4.自分に合った寝具を使用する

睡眠の質を向上させるためには、自分に合った寝具を選ぶことも重要な要素の1つとなっています。寝具は、睡眠中の体温調節を助け、快適な寝姿勢をサポートし、体圧を分散してくれるアイテムであるため、睡眠にとって重要性を持っています。寝具の選び方については、理想の寝姿勢は体型や健康状態によって異なるため、寝具も自分の好みに合ったものを使用することが大切です。寝具のうち、一つでも品質が良く自分に合ったものに変えるだけで、睡眠の質は大きく変化するので、是非、寝具の見直しを検討してみてください。

4.睡眠の質を上げるためにはRecoverySleepの寝具がおすすめ

睡眠の質を高めるためには、自分に合った寝具を使うことが大切です。
おすすめは、RecoverySleepの寝具です。寝具は吸湿性や放湿性に優れ、適切な保温性を備えていることが重要ですが、Recovery Sleep敷きパッドはそれを叶えてくれる機能性を有しています。
Recovery Sleep敷きパッドは、特殊素材「RecoverySleep」により、身体の熱を吸収、赤外線を幅射、寝ているだけで温熱効果を得られる敷きパッドです。吸放湿性にも優れ、綿100%で心地良い肌触りを感じながら快適に眠ることができます。

Recovery Sleep敷きパッド

まとめ

睡眠は単なる休息以上の重要な役割を持ちます。睡眠不足は多くの健康問題を引き起こすため、その解消には個人の意識改革が不可欠です。健康な日々を送るためには、質の良い睡眠を確保することが第一歩です。たかが睡眠と考えずに、今のうちから睡眠環境や生活習慣、寝具の見直しを検討することが非常に重要です。今回の記事が参考として、ご自身の睡眠について見直すきっかけにしていただければ幸いです。

この記事の監修者

休養 × 疲労回復の専門家
睡眠改善協議会 睡眠改善インストラクター
日本リカバリー研究所 所長

福田 英宏 (フクダ ヒデヒロ)

早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。

この記事に関連する商品

"睡眠"に関連するその他のコラム記事