【監修】肩こりが酷くて眠れない…その原因は?対処・予防法も紹介

肩や首の付け根などに痛みや張りを感じる「肩こり」。肩こりは酷くなると、眠りを妨げる要因となってしまうこともあります。肩こりの原因を知り、正しく対処・予防していきましょう。

この記事では「肩こりが酷くて眠れない」とお悩みのみなさんに向けて、肩こりで眠れない原因、肩こりで眠れないときの対処法、眠れない肩こりを予防する方法について紹介します。

1.肩こりで眠れない…その原因は?

肩こりの主な原因は「筋肉の緊張」と「血行不良」です。「何らかの要因」により肩周りの筋肉が緊張し収縮すると、血管も収縮して血行不良の状態になります。その結果、筋肉の緊張により生み出された老廃物が血流に乗ってうまく排出されなくなり、肩周りに溜まって神経を刺激し、痛みやだるさといった肩こりの症状が現れるのです。

では筋肉の緊張を引き起こす「何らかの要因」とはどんなものなのでしょうか?引き続き詳しく紹介します。

1-1.姿勢のゆがみ

姿勢のゆがみは、肩こりを引き起こす要因の一つとしてあげられます。多くの人が思い浮かべる悪い姿勢の代表といえば「猫背」でしょう。実は猫背の人は肩こりに悩まされることが多いといわれています。背中が丸まって肩が前に出る姿勢のせいで、肩周りの筋肉に負担がかかりやすいからです。

正しい立ち姿勢は、横から見たときに耳からかかとまでが真っ直ぐになっていて、重心が真ん中にある状態になります。この姿勢を意識することで、猫背による肩こりを解消できるでしょう。

また「長時間のデスクワークで肩がこる」という話もよく聞きます。これはパソコン画面の高さや距離などが体に合っていないことにより、肩が内側に入った前かがみの姿勢になって、肩周りの筋肉に負担がかかってしまうため起こります。

パソコンの高さや距離などを調整して、正しい座り姿勢で作業できるようにすることで、ある程度の解消が可能でしょう。具体的な調整方法については「デスク環境を見直す」の章で解説していますので、そちらを参考にしてみてください。

1-2.運動不足

あまり知られていませんが、運動不足も肩こりを引き起こす要因の一つです。

私たちの体を構成する筋肉には、血液を全身に送るポンプのような役割があります。そのため運動不足により筋肉量が低下した体は、血行が悪くなって筋肉に溜まった老廃物が排出されにくい状態になってしまいます。そしてその結果、老廃物により神経が刺激されて、痛みやだるさといった肩こりの症状が現れやすくなるのです。

1-3.ストレス

肩こりはストレスからも引き起こされます。私たちの体では交感神経と副交感神経からなる自律神経により、生命維持に必要なさまざまな機能が調整されています。血圧や呼吸、体温、そして筋肉収縮などです。

ストレスを感じたとき、体では交感神経の働きが優位になって筋肉が収縮します。筋肉が収縮すると血管も収縮するため、血行が悪くなり、結果として肩こりが引き起こされるのです。

1-4.体に合わない枕

体に合わない高さの枕を使っていると、肩こりが起きてしまうことがあります。理想的な寝姿勢は背骨が緩やかなS字カーブを描いた状態といわれますが、高さの合わない枕を使っているとこの緩やかなS字カーブが崩れて、肩周りの筋肉に負担がかかり、肩こりを引き起こしてしまうのです。

運動不足やストレスなど、ほかの要因が思い当たらないのに眠れないほど肩こりが酷い場合は、枕が体に合っていないのかもしれません。

1-5.病気

肩こりは心筋梗塞や狭心症、脳動脈瘤などの病気により引き起こされることもあります。ここまでに紹介してきた要因に当てはまるものがなく、息切れしやすい、目の奥に違和感があるなど、肩こり以外にも何らかの症状がある場合は要注意です。

肩こりの原因となる病気の中には、命に関わるものもあります。そのため「たかが肩こり」と軽く考えず、ほかに症状がないかをしっかりとチェックしていくことが大切です。チェックの方法は「病院を受診する」の章で紹介していますので、参考にしてください。

2.肩こりで眠れないときの対処法

肩こりが酷くて眠れないときは、肩周りをマッサージしたり温めたりして筋肉の緊張をほぐしてあげましょう。また一時的な対策ではありますが、痛み止めの薬を使うのも効果的です。引き続き、肩こりで眠れないときの対処法について詳しく紹介します。

2-1.ストレッチ・マッサージ・ツボ押しをする

ストレッチ・マッサージ・ツボ押しには、筋肉の緊張をほぐして血行を促す効果があります。

肩こりに効くストレッチ・マッサージ・ツボ押しの方法が知りたい場合は、ネット検索してみるのがおすすめです。「肩こり ストレッチ」「肩こり マッサージ」「肩こり ツボ」といったワードで検索すると、手順を解説した記事がたくさんヒットします。その中から取り組みやすいものを選んで試してみてください。

また自分で行うのが不安な場合や、より高い効果を得たい場合には、整体院やマッサージ店に行くのも良いでしょう。費用はかかりますが、プロの手による施術を受けられます。

2-2.肩周りを温める

肩周りを温めることで血行が促進されれば、肩こりの改善も期待できます。肩周りを温める際には、温湿布やカイロ、蒸しタオルを使うのがおすすめです。特に温湿布やカイロは特別な準備をしなくてもすぐに使えるため、常備しておくと良いでしょう。

温湿布やカイロがない場合には、自分で蒸しタオルをつくるのもおすすめです。お湯につけて絞ったタオルをラップで包み、500〜600Wの電子レンジに入れて30秒ほど温めると心地よく使える蒸しタオルができますので、試してみてください。

このように肩周りを温める方法は、手軽に取り組める肩こりの対処法としておすすめです。しかしこの方法は、全ての肩こりに有効なわけではありません。寝違えや筋肉痛などにより肩に炎症が起きて痛みを生じている場合は、温めると炎症が広がってかえって症状が悪化する恐れがあります。肩こりの原因が炎症によるものでないことを確認した上で行うことが大切です。

2-3.痛み止めの薬を使う

痛み止め成分が含まれた飲み薬や湿布薬、塗り薬などを使用することも、肩こりで眠れないときの対処法として有効です。市販薬によく使われる痛み止め成分としてはロキソプロフェンやイブプロフェン、インドメタシンなどがありますので、自分に合うものを探してみましょう。

ただしこれらの痛み止めは、肩こりを一時的に楽にするためのものであり、肩こりそのものを解消するものではありません。肩こりが治らないからといって乱用してしまうと、胃腸障害や腎障害、頭痛などを引き起こす恐れがあります。使用の際には用法・用量を守り、根本的解決法も並行して探していくことが大切です。

肩こりそのものを解消するためにおすすめの方法は「眠れない肩こりを予防する方法」の章で紹介していますので、参考にしてみてください。

2-4.病院を受診する

肩こりの中には、狭心症・心筋梗塞・脳動脈瘤・歯列接触癖・眼けん下垂などの病気が原因となり引き起こされているものもあります。

肩こりの症状以外に「体を動かしたときに息切れしやすい」「目の奥に違和感がある」「頭が重い」「舌に歯形がついている」「上まぶたが黒目の真ん中までかぶる」といった症状がある場合には、上記の病気が原因かもしれません。一度病院を受診してみましょう。診療科目がわからない場合は、まずは近所の整形外科を受診して肩こり以外に上記の症状があることを伝えてみてください。

3.眠れない肩こりの予防法

肩こりで眠れないときの対処法について紹介してきました。ここまでご覧になった方の中には「肩こりが起きなくなるように、予防法もあわせて知りたい」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでここでは、肩こりそのものを予防する方法について紹介します。

3-1.運動を習慣化する

肩こりを予防するためには、普段から適度に運動し、全身の血行を促すことが大切です。運動と一口にいってもいろいろなものがありますが、肩こりの予防を目的とする場合には、腕をしっかり振りながら行うウォーキングやジョギング、腕を回すスイミングなど、肩甲骨周りを動かすものがおすすめです。

肩甲骨周りを動かす運動を習慣化することで、全身の血行が促されるのはもちろん、肩周りに筋肉がついてより一層肩こりになりにくい体をつくることができます。

3-2.毎日湯船につかる

入浴はシャワーだけで済ませず、毎日湯船につかるようにしましょう。温かいお湯につかることで全身の血行が促され、肩こりの予防につながります。体をしっかり温めて血行を良くするためには、40℃のお湯に10〜15分程度、肩までつかるのが良いとされていますので、参考にしてみてください。

またより高い効果を得たい場合には、肩まで湯船につかった上で、熱いお湯につけて絞ったタオルを使って首を温めるのがおすすめです。肩こりは「僧帽筋」という首から背中の上部にかけてつながった筋肉がこっている状態なので、首も一緒に温めることでよりしっかりと予防できると考えられます。

3-3.デスク環境を見直す

デスクワークをする人は、正しい姿勢で作業ができるようにデスク環境を見直してみましょう。正しい姿勢を保つことができれば、作業が長時間におよんだ場合でも肩こりになるリスクを減らすことが可能です。

パソコンは顔から画面までの距離が40cm以上になるように設置しましょう。また画面が目線より下になるよう、机の高さも調整してみてください。椅子については足裏全体が床につくように、そしてキーボードを使うときに肘の角度が90度以上になるように高さを調整します。

いま使っている机や椅子だけでは上手に調整できないという場合は、パソコンスタンドや昇降デスク、フットレストなどを取り入れてみると良いでしょう。近年、リモートワークの普及に伴い、正しい座り姿勢をサポートするアイテムがたくさん販売されるようになりました。ご自分のデスク環境にも取り入れやすいものが見つけやすいはずです。

3-4.朝日を浴びる

ストレスによる肩こりを予防するには、朝日を浴びることが大切です。

朝日を浴びると、私たちの体では「セロトニン」というホルモンが分泌されます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、緊張の原因であるノルアドレナリンや快楽をもたらすドーパミンの分泌をコントロールし、精神状態を安定させる働きがあることで知られています。朝日を浴びてセロトニンをしっかり分泌させれば、ストレスに強く、肩こりになりにくい体をつくれるわけです。

朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びましょう。また朝の時間帯にウォーキングをしたり、徒歩や自転車で通勤をしたりしてたくさん朝日を浴びると、セロトニンの分泌をより一層促すことができます。余裕がある場合は試してみてください。

3-5.枕を見直す

体に合う高さの枕を使うことも、肩こりの予防につながります。適切な枕の高さは、仰向けに寝る場合は敷布団と首の隙間を埋められる高さ、横向きに寝る場合は首と背骨が真っ直ぐ床と平行になる高さです。いま使っている枕がこの高さかどうかを確認し、高さが合わない場合は買い替えを検討してみてください。

枕を買い替える場合は、仰向けと横向きのどちらで寝ることが多いかを考え、多いほうに合う高さのものを選ぶと良いでしょう。また枕の中には仰向けと横向きの両方に対応したものもあるので、そうした商品を選ぶのもおすすめです。

4.肩こり予防に役立つRecovery Sleep枕

肩こり予防のために枕を買い替える場合は、Recovery Sleep枕をご検討ください。Recovery Sleep枕は正しい寝姿勢をサポートすることにより、肩こりを予防できる枕です。

中材は量を調整できるようになっており、ご自分の体に合う高さでお使いいただけます。また仰向け寝と横向き寝の両方に対応しているため、寝返りを打っても正しい姿勢をキープすることが可能です。

以下のリンクから商品の詳細をご覧いただけますので、チェックしてみてください。

Recovery Sleep枕カバー+本体セット

まとめ

肩周りの筋肉が緊張して血行不良になると、眠れないほど酷い肩こりを引き起こすことがあります。

肩こりで眠れないときは、ストレッチをしたり肩周りを温めたりして筋肉をほぐし、血行を促してあげましょう。そしてそれと並行して、肩こりを根本的に解消できるように生活習慣やデスク環境、枕の見直しなども行ってみてください。

肩こりを改善・解消し、安眠を叶えるために、この記事を参考にしていただければ幸いです。

この記事の監修者

休養 × 疲労回復の専門家
睡眠改善協議会 睡眠改善インストラクター
日本リカバリー研究所 所長

福田 英宏 (フクダ ヒデヒロ)

早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。

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