【監修】更年期には体温が上がる?原因や予防・対処法を解説

更年期に体温が上がると感じる場合「ホットフラッシュ」が起きているかもしれません。ホットフラッシュは代表的な更年期障害の一つに数えられ、更年期女性の多くを悩ませています。

この記事では、ホットフラッシュの原因や予防・対処法を紹介します。

ホットフラッシュは、病院を受診したり、生活習慣を見直したりすることにより予防・対処できる可能性があります。10年前後も続くといわれる更年期を健やかに過ごすため、ホットフラッシュの原因を知り、適切に予防・対処していきましょう。

1.更年期には体温が上がる?

更年期に、微熱(平熱 以上〜37.5℃)が出たり、のぼせやほてりなどの熱感を感じることは珍しくありません。

これらの症状は、医学用語で「ホットフラッシュ」と呼ばれ、更年期障害の代表的なものとなっています。国立長寿医療センターが東京医科歯科大学、アステラス製薬と共同で行った調査によると、更年期世代である50〜54歳のホットフラッシュ有症率は45.2%にものぼったそうです。

もしも、あなたが45〜55歳くらいの年齢で、最近体温が上がったと感じている場合、更年期によるホットフラッシュが起きているかもしれません。ホットフラッシュの原因について理解し、適切に対処・予防していきましょう。

2.更年期に体温が上がる原因は?

更年期には「ホットフラッシュ」により、体温が上がると感じることがあります。では、なぜ、更年期にはホットフラッシュが起きやすいのでしょうか?

更年期の女性の体では、卵巣の機能が低下して、エストロゲンという女性ホルモンの分泌量が急激に減少します。そして、エストロゲンの減少により女性ホルモンのバランスが乱れた体では、同時に「自律神経」の働きも乱れてしまいます。

自律神経にはさまざまな働きがありますが、血管の収縮・拡張をコントロールするというのもその一つです。更年期により自律神経の働きが乱れると、血管の収縮・拡張が適切にできなくなり、結果として、ホットフラッシュの症状として現れてしまうのです。

ホットフラッシュによる微熱・のぼせ・ほてりに対処するには、自律神経の働きを整えることが大切になります。

3.更年期に体温が上がるときの対処法は?

一般的に、更年期は閉経をはさんだ10年前後続くといわれています。10年もの間、微熱・のぼせ・ほてりなどのホットフラッシュの症状に悩まされるのは苦しいでしょう。適切な方法で、早めに対処していきたいところです。

ホットフラッシュの症状は、病院での治療により解消できる可能性があります。また、腹式呼吸やツボ押しなどにより、自律神経の働きを整えることも有効な改善法です。

引き続き、ホットフラッシュにより更年期に体温が上がってしまったときの対処法について紹介しますので、参考にしてみてください。

3-1.病院を受診する

まずは、今起きている症状が本当にホットフラッシュによるものなのか、病院で診断してもらいましょう。

特に、微熱が続く場合、細菌やウイルスによる感染症・自己免疫疾患・悪性腫瘍などの可能性もあります。中には、病院での早期治療が快復の鍵になるものもあるため、自己診断で更年期と決めつけず、一度は病院を受診することが大切です。

病院で、更年期によるホットフラッシュが起きていると診断された場合、一般的な治療法としてホルモン補充療法(HRT)や漢方薬の服用が選択されます。

ホルモン補充療法では、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンを含む薬が投与されます。減少した女性ホルモンを物理的に補充するため、高い効果が期待できるでしょう。

漢方薬としては、加味逍遙散(かみしょうようさん)・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)・加味帰脾湯(かみきひとう)などから、体質に合うものが処方されます。生薬の力で体質そのものを変えることにより、ホットフラッシュの改善を目指していきます。

3-2.腹式呼吸をする

ホットフラッシュが起きたときの自分でできる対処法として、腹式呼吸をすることがあげられます。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、このうち交感神経が優位になることでホットフラッシュは引き起こされます。腹式呼吸には副交感神経を優位にする効果があるといわれているため、ホットフラッシュの対処法としておすすめなのです。

腹式呼吸は、息を吸ったときにみぞおちあたりが膨らむ呼吸法のことです。慣れないうちはすぐにできないかもしれないので、寝る前などに練習しておきましょう。ホットフラッシュが起きたときに、確実に腹式呼吸ができるようにしておくことが大切です。

3-3.ツボ押しをする

全身に点在するツボの中にも、刺激することで副交感神経を優位にし、ホットフラッシュを改善できるものがあるといわれています。

中でも特に覚えておきたいのが手に存在しているツボです。例えば、中渚(ちゅうしょ)・神門(しんもん)・合谷(こうごく)などです。

ホットフラッシュはどんなタイミングで起きるかわかりません。手のツボであれば時と場所を選ばず指圧しやすいため、把握しておくと良いでしょう。

4.更年期に体温が上がるのを予防する方法は?

ここまで、ホットフラッシュにより体温が上がったときの対処法を紹介してきましたが、そもそもホットフラッシュが起きないように予防策を講じることも大切です。

対処法と同じく、予防法でもポイントになるのは、自律神経の働きを整えることです。どんな予防法があるのか、引き続きご覧ください。

4-1.基礎体温をつける

普段から自分の体について知っておくことは、ホットフラッシュ予防の第一歩です。

更年期の少し前から、女性の「基礎体温」には変化が現れ始めます。今までは、低温期と高温期が0.5℃くらいの差で綺麗に2層にわかれていたはずです。しかし、30代後半以降からは、閉経に向けて徐々にその差が少なくなっていくでしょう。

もしも、基礎体温に上記のような変化が見られたら、これから紹介する予防法に取り組むことで、ホットフラッシュを回避できるかもしれません。また、ホットフラッシュと思われる症状が現れて病院を受診するときも、今までの基礎体温データが診断の大きな助けとなるはずです。

基礎体温は、初潮を迎えたときからつけることが推奨されています。毎朝つけることを習慣にしていきましょう。

4-2.有酸素運動をする

有酸素運動をすることも、副交感神経を優位にし、ホットフラッシュを予防するのに効果的といわれています。

実際に、英国のリバプール・ジョン・ムーア大学が、ホットフラッシュの有症状者に4ヶ月間ジムの有酸素運動プログラムに取り組んでもらったところ、血圧と脳血流が低下してホットフラッシュが改善したそうです。

有酸素運動に取り組むときのポイントは、無理なく継続できるメニュー・頻度にすることです。

メニューについては、有酸素運動をメインに、ストレッチングやウェイトトレーニングも加えるのが理想的といわれます。

例えば、柔軟体操を5分ほど行った後で、ウォーキング・ジョギング・サイクリング・水泳・ダンスなどの有酸素運動に20〜40分程度取り組みます。そして、最後にまた柔軟体操を5〜10分して終わるなどです。

頻度は週に3〜4回が望ましいですが、普段運動していない人は無理せず徐々にこの回数に近づけていくと良いでしょう。

4-3.カフェインを控える

カフェインには交感神経を優位にする働きがあるため、摂りすぎるとホットフラッシュの原因になる可能性があります。

カフェインは、コーヒー・紅茶・ココア・コーラ・エナジードリンク・ダイエットサプリなど、いろいろな食品に含まれています。意外な食品に含まれていることもあるので、よく口にする食品については一度成分表示で確認してみましょう。

カフェインの摂取許容量は個人差が大きいため、日本でも海外でも設定されていません。しかし、カナダ保健省からは「健康な成人は最大400mg/日(コーヒーの場合マグカップで約3杯程度)までの摂取にとどめるように」という注意喚起がなされています。この量を一つの目安に、カフェイン摂取を控えてみましょう。

4-4.質の高い睡眠をとる

 

睡眠不足になると、交感神経が優位に働きやすくなり、ホットフラッシュを引き起こす可能性が高まります。

睡眠不足を解消する方法として、長時間眠ることをあげる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、睡眠で大切なのは時間ではなく質です。

質の高い睡眠とは「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い睡眠のことで、ノンレム睡眠が多くなるのは入眠後3時間といわれています。つまり、入眠後少なくとも3時間は連続して眠り続けることが大切というわけです。

質の高い睡眠をとる方法はいろいろあります。就寝時には部屋を暗くする・心地よく眠れる寝具を使うなど、簡単に取り組めるものもあるので試してみましょう。

5.質の高い睡眠をサポートするRecovery Sleepのアイテム

質の高い睡眠をとることは、自律神経のバランスを整え、ホットフラッシュを回避するのに有効です。

質の高い睡眠をサポートするアイテムは、いろいろなメーカーから販売されています。それらのアイテムを活用することで、効率的に睡眠の質を高められるでしょう。ここでは、睡眠の質を高められるRecovery Sleepのアイテムを3つ紹介しますので、ご覧ください。

5-1.Recovery Sleepアイマスク

私たちの睡眠は「光」によりコントロールされています。眠気を促すホルモンの分泌が、光を浴びると抑制され、逆に暗くなると促進されるからです。

寝る前に部屋を暗くしたり、スマホなどのブルーライトを浴びないようにすることが、質の高い睡眠をとるために大切になります。

Recovery Sleepアイマスクには、ストラップの長さ調節ができ、遮光性を高められるという特徴があります。もちろん、スマホを見られない状態にもできるため、部屋の光とスマホのブルーライトの両方を遮断して睡眠の質を高められるでしょう。

Recovery Sleepアイマスク

5-2.Recovery Sleep 敷パッド

Recovery Sleep敷きパッドは、中綿に自然の鉱石を練り込んだ「Recovery Sleep綿」を使用しているのが特徴です。鉱石が人体から放出される熱を吸収し、赤外線として輻射するため、温熱効果による質の高い睡眠を得られるでしょう。

また、表地に綿100%素材を使用しているのも嬉しいポイントです。柔らかな肌触りで季節を問わず心地よく眠ることができるでしょう。

Recovery Sleep 敷きパッド

5-3.睡眠計測ナイトウェアeSleepy

睡眠計測ナイトウェアeSleepyは、自分専用の睡眠環境コーチを行う、センサー付きのナイトウェアです。縫付型温度センサーと着脱式センサーハブが、睡眠中の寝床内温度や動きを測定。測定データを用いて、専用アプリが睡眠コーチングをします。

睡眠計測ナイトウェアeSleepyには「リラクシングウェアタイプ」と「開襟シャツタイプ」の2タイプがあります。

リラクシングウェアタイプは旭化成のプレミアムファイバー「ロイカ」によるしなやかな着心地が、開襟シャツタイプは襟ぐりが大きめに開いた軽やかな着心地が魅力です。お好みに合わせて選んでみてください。

睡眠計測ナイトウェアeSleepy商品ページ

まとめ

更年期に体温が上がると感じたら、ホットフラッシュが起きているかもしれません。

ホットフラッシュは自律神経の乱れにより引き起こされます。そのため、自律神経を整えられるよう、生活習慣の見直しやちょっとした工夫をすることで、予防・対処できる可能性があります。

ただし、体温が上がる背景には、更年期以外の病気が潜んでいるケースもゼロではありません。まずは、病院を受診して、ホットフラッシュの診断を受けてから予防・対処法に取り組むことが大切です。

今回の内容を参考にして、ホットフラッシュと上手に付き合っていきましょう。

この記事の監修者

休養 × 疲労回復の専門家
睡眠改善協議会 睡眠改善インストラクター
日本リカバリー研究所 所長

福田 英宏 (フクダ ヒデヒロ)

早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(修士)卒業後、㈱Recovery Adviserを立ち上げ「休養」「疲労回復」の専門家として多くのアスリートやスポーツチーム、競技団体の競技力向上をめざした休養サポートを行う。

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